公務員試験は自治体により様々な特色があります。
今回は京都市の職員採用試験について、試験内容や対策を中心に解説していきたいと思います。
京都市職員採用試験の日程について
公務員試験は、国家公務員総合・一般、都庁、大阪府など独自日程で行われている自治体の他、A日程・B日程・C日程が存在します。
公務員試験の全般の日程についてはコチラの記事もぜひご覧ください。
京都市職員採用試験(上級Ⅰ及び上級Ⅱ)は毎年A日程で行われます。
それでは、詳しく見ていきましょう。
※なお、身体に障害のある方を対象とした試験の年齢要件は以下の通り変更があったようです。
30年度 | 31年度 | |
年齢要件 | 18~29歳 | 一般事務 18~35歳 学校事務 18~45歳 |
等級要件 | 身体障害者手帳の交付(1級~4級)を受けている方 | 身体障害者手帳の交付(1級~6級)を受けている方 |
試験実施回数 | 9月試験(年1回) | 6月,9月試験(2回) |
京都市の場合は上級Ⅰの他、大学院生枠の上級Ⅱ試験があり、
上級Ⅱでは専門試験が課されない、面接ではプレゼン試験が行われるなど、試験内容も若干異なっています。
上級Ⅰ一般事務職(行政) | 上級Ⅱ(大学院生) 一般事務職(行政) | ||
第1次試験 | 教養試験(午前) 専門試験(午後) 作文試験(午前) | 教養試験(午前) 作文試験(午前) | 6月23日(日) 午後9時30分~午後3時15分 ※上級Ⅱは午後0時30分まで |
第1次口述試験対象者発表 | 6月下旬 | ||
第1次口述試験(個別) | 第1次口述試験(個別プレゼン) | 7月上旬 | |
第1次試験合格発表 | 7月中旬 | ||
第2次試験 | 第2次口述試験(個別面接) | 7下旬~8月上旬 | |
第2次試験合格発表 | 8月上旬 | ||
第3次試験 | 第3次口述試験(個別面接) | 8月中旬~下旬 | |
最終合格発表 | 9月上旬 |
京都市の試験では、第1次試験で行われる口述(面接)試験が筆記試験と一緒に採点されるという特徴があります。
この面接試験は一般に1.5次面接と言われており、このような制度は他の自治体ではあまり見られません。
この試験については面接試験対策の項目で解説しています。
次に、筆記試験と面接試験に分けて詳しく見ていきたいと思います。
京都市職員採用試験の筆記試験対策
京都市の筆記試験は、他のA日程自治体とほとんど同じになります。
そのため、一般的な公務員受験生であれば対応可能な科目構成となります。
出題形式はA日程としてのものとなりますので、B日程C日程では出題されない専門科目が合格へのカギになるといえます。
ここからは、教養試験と専門科目試験に分けて解説をします。
教養試験
多くの人が受験を目指す大卒枠は、A日程として行われるため他の自治体と出題内容は同じになります。そのため、静岡市等と同じく数的処理が最も重要となってきます。
数的処理は勉強に時間が掛かる科目であり、早めの対策が重要です。
また、計算が苦手な方であっても、判断推理などの、どちらかというとパズル要素の強い科目や図形問題はしっかりと得点源にしていく必要があります。
判断推理も得点できないと、合格はかなり難しくなってしまいます。
また、他のA日程自治体と異なる点として、例年京都市独自問題が出題されています。
これは、京都市の市政や歴史、動植物などが問われる問題となっており、対策が非常に難しくなっています。
こちらについては運が左右するところもあります。
直前に京都市のホームページを確認したり、歴史を調べたりするなどの対策をする程度で大丈夫だと思います。
さらに、論文試験も実施されています。
こちらの採点については後述の1.5次面接と合わせて行われることになっています。
内容としては、一般的な教養試験とは異なった内容の出題になります。
自分自身の体験談や目標など、誰にでも書ける内容になっていますが、文章を書くことに慣れていない場合、なかなか筆が進まなくなってしまいます。
多くの受験生はテーマ毎にある程度書く内容をストックしてから受験するようです。
出題内容が予測できないため対策が難しい反面、試験時間などはそこまでタイトではありませんので、仮に準備した内容とは全く異なる出題テーマであった場合でも、現場で対応することは乗り切れるはずです。
ただし、上述の通り慣れが必要となってくるので、他の自治体を含めて過去問を中心に数回程度は模擬回答の作成をしておくと、他の受験生と差をつけることができるはずです。
専門科目試験
他の自治体と同様、
- 法律科目(憲法、行政法、民法)
- 経済系科目(マクロ、ミクロ)
- 会計学
- 行政学
- 政治学
- 社会学
- 国際政治
からの選択となります(※自治体によって異なる)。
特に選択されるのは、法律科目や行政学となります。
個人的には憲法、行政法、行政学はオススメです。
一方、民法は改正が行われ、学習範囲も非常に広いので、時間が掛かってしまうため、オススメできません。
また、教材を選ぶ際には予備校が出している対策本を中心に手をつけていくのが良いと思います。
専門的な学術書に手を出してしまうと、オーバースペックな学習となってしまい、時間のロスが大きくなってしまいます。
選書基準としては TAC や LEC 、東京アカデミーなどの大手公務員予備校が出しているものを使用すれば問題ないと思います。
また、行政学などは他の資格試験ではあまり見られない出題科目となっているため、特に上記予備校の対策本が有用な科目になると思われます。
公務員試験では全日程を通して教養科目が課さていること、数的処理の重要性が高いことなどから、教養試験ばかり勉強してしまい、専門試験が疎かになりがちです。
しかし、合格に最低限必要な得点を確保した後は、専門科目とのバランスの良い進行が必要不可欠になります。
教養と専門両方で点数が取れていないと意味がないうえに、教養試験だけで高得点を狙うのは現実的に難しいからです。
京都市職員採用試験の面接対策
面接対策について解説していきます。
京都市では、他の自治体と異なり1次試験として筆記試験と共に面接試験が行われます。
一般に1.5次面接と呼ばれていますが、内容としては一般的な面接試験と異なりません。
ただ、他の自治体に比べて面接が早いうちから始まってしまうため、より早く対策をしていく必要があります。
採点も筆記試験と合わせて行われるため、準備が遅れてしまうと、筆記試験の点数にかかわりなく不合格となってしまいます。
1.5次面接以降の面接も、一般的な面接と異なりません。
ただし、面接は回を重ねるごとに役職の高い職員が担当するようになるため、特に1.5次面接では他の自治体ではあまり見られないような若い中堅職員(恐らく30~40歳程度)が面接官となる可能性が高いです。
自治体がこのような仕組みを採用しているのは、若い人からの視点も取り入れることを意識しているからです。
このような趣旨を汲んで、若い人に評価してもらえるようなPRは特にこの1.5次面接で前面に出していくのが良いと思います。
しかし、結局は行政官採用面接であるため、過度な自己主張等はこの1.5次面接でも御法度でしょう。
その他には、広域自治体ではなく基礎自治体を志望している理由や、他の市町ではなく、京都市を受験した理由などが1.5次から3次までを全体を通して大きなポイントとなります。京都市出身でなく、さらに京都市での居住経験もない方であれば、相手を納得させるだけのしっかりとした準備が必要になります。
他の自治体出身者が受験する場合の注意点
京都市に限らず、他の自治体でも言えることですが、いわゆる「縁もゆかりもない」自治体から受験する場合は、面接の対策が特に重要になってきます。
東京や大阪、横浜など大規模自治体であれば問題ありませんが、中~小規模の自治体では志望理由を根ほり葉ほり聞かれることになってしまいます。
また、相手が納得するまで質問攻めをされてしまうこともあります。
その場合は1人当たりに割ける時間の関係から、他の質問をしてもらえず、「あんまり印象に残らなかったな」という感じで終わってしまうこともあります。
そのため、いかに相手を納得させることができるか、を重視して対策を練る必要があります。
具体的な対策としては、自分の経験に結び付け、相手を納得させる方法が良いです(大学のサークルや研究活動、前職での体験など)。
その自治体で働きたい理由が大なり小なりあると思いますので、それをキッカケに、話題を膨らませていけるような流れを作りましょう。
逆に言えば、本当に何も縁が無い自治体を受験することは、そもそも志望自治体選択の時点で大きなミスを犯してしまっていると言えます。
採用者の立場になってみた時に、そのような受験生が来ても良い評価はできないですよね。
面接は嘘つき合戦である、と言われる事もありますので、最終的に創作を持ち出すという手段もあります。
しかし、質問攻めにあった際に臨機応変に対応するのは大変困難ですし、仮に嘘であると判断されてしまった時のリスクを考えるとオススメはできません。
面接で実際に聞かれた質問
・3分程度で自己PRをしてください。
→PRの内容を詳しく教えてください。(力を入れていた活動における、具体的な活動内容や役職等)
・京都市志望した理由を教えてください。
→なぜ地元の自治体は志望しなかったのですか?
・なぜ京都の大学へ進学しようと決めたのですか?(出身が京都でなかったため)
・京都市で働くとしたら、どの部署で働きたいか教えてください。
→なぜその部署で働きたいと思うようになりましたか?
→その部署で現在京都市が行っている取り組みは何か知っていますか?
→その取り組みについて、〇〇さんはどのように考えていますか?
・〇〇さんの短所について教えてください。
→その短所を改善するために、何か行ってきましたか?
・家族や友人など、周りからはどのように評価されていると思いますか?
(参考:京都市職員採用案内)
以上、京都市役所採用試験についてまとめてみました。
コメント